当サイトに、定点観測のページを追加した。
観測対象はマクロ金融、貿易・海外投資である。統計によって50年分を網羅しているこの定点観測では、過去から現在にかけての各種指標にどのような関係性がありそうなのか改めて見つめなおすのに良い資料となっている。以下が確認できる。
- 株価や銀行貸出はどう動いてきたのか?どう動きそうなのか?
- 株価指標、銀行貸出の推移はどうなっているか?
- 株価の利益や純資産との比率はどうなっているか?
- 日本銀行の金融政策はどうなっているか?
- 日本国債の残高はどうなっているか?
- 富の偏りや個人の経済状況の変動は?
- 失業率や年収分布はどうなっているか?
- 「経済環境と平和」で整理したように、社会の安定に深く関わっている指標だ。
- 失業率や年収分布はどうなっているか?
- 貿易はどれほどのボリューム・分散度合いで推移しているか?
- 大まかに、どれほど対象国で分散されていそうか?
- どのような品目が貿易されているか?
- どこの港湾が多く利用されているか?
一点目に関して言えば、投資活動を行う上でのニーズにも応えるところがあるかもしれない。日本証券業協会のHPに金融資本市場の概観がまとめられている資料「金融資本市場の長期的な展望の検討について」がある。これによれば2025年12月末の、名寄せ後の個人投資家の数は1600万人に及んでいる。これは20歳以上の日本国民(約1億人)の15%超にあたる。
定点観測のページの上部にある400字以内の要約文は、週次で統計を確認して動きがあるごとに更新される、AIによる5つの統計図表の解釈だ。Google社の「Gemini」を用いる構成である。慎重に推定するようにガードレールを設定して運用している。
定点観測の前提
インプットとなる統計を選び出すにあたって、まず公的機関の公表しているデータで調査できるものに限定している。実効性を保つ為、以下の措置をとっている。
- AIでデータ分析をする際、指定した機関以外のデータが混ざらないようプロンプト内で制限を設けている
- 分析に用いたデータの出典URLを全て列挙するよう指示を出している
- いくつかの主要な数値(国債及び借入金現在高の最新数値など)は元のサイトと照合し、合っていることを確認している
実際に見ていただくと分かるように、出典URLを押して、気になる方々がすぐに元データを辿れるようにしてある。
定点観測の狙い
目的は大きく今後の金融環境の予測、平和に関わる経済環境の観測という2点だが、実際に長期統計として使える指標の制約にぶつかりながら試行錯誤を続けている。
現時点でいえば、下記の観点から目的に沿った観察ができそうである。
「何が株価水準に影響を与えていそうか?」
- 日本で金利の変動は歴史的に見て株価水準に影響を与えるのか?
- ここでは株式市場全体をみる指標としてTOPIX(東証株価指数)を採用している。現在1600銘柄以上を組み入れている歴史ある指標であり、日本の株式市場全体の水準を予測するのに適していると考えた。
- よく比較される指標には日経平均株価があるが、プライム市場の選ばれし225銘柄からなる指標であり、株式市場全体の水準を測るにはTOPIXがより適していると思われた。
- 貸出状況の変動は歴史的に見て株価水準に影響を与えるのか?
- 金利の変動は銀行からの貸出金額に影響を与えるのか?
- 特に、法人への貸出と個人の住宅ローンについては金利影響があるのではないかと考えた。
- 貸出が引き締められている様子はあるか?
- 金利の変動は銀行からの貸出金額に影響を与えるのか?
- 中央銀行の金融政策(金利調節とアセット売買を通じて行う)は歴史的に見て株価水準に影響を与えるのか?
- 金利調節は国債金利で実際の動きをみた
- アセット売買は中央銀行による国債保有額の増減で実際の動きをみた
- これらが株価に影響を与えているのか、FIGURE間をまたいで確認できる
- 日本政府の債務残高は歴史的に見て株価水準に影響を与えるのか?
- 現在どうなっているか?
- は政府以外のセクターの資金調達に影響しているか?
- 政府以外のセクターの資金調達影響は、FIGURE間をまたいで確認できる
「経済環境に社会不安の兆候は出ていないか」
- 富の偏りは悪化しているか?
- 失業は増えていないか?
- 就業者間で偏りはどれだけ出ているか?
- (資産は単身世帯を含めた統計が見当たらない。所得分布で測れない資産収入も富の偏りに寄与する要因であり、政府統計があると良いのだが…)
- 人々の経済状況の変化には悪化の兆候がないか?
- 失業率の変動は?
- 株価は急落していないか?
これらの視点を繰り出した背景のいくつかには、マクロ金融の有識者の著作の影響を受けている。
例えばマクロ金融の有識者と思われるアラン・グリーンスパン元FRB議長の下記の観察(「リスク、人間の本性、経済予測の未来」から)は政府債務の変動⇒民間資金調達への影響⇒株価や失業率への影響、という変化があるのではないかという仮説をもたらしている。
”財政赤字のときには、他の借り手より先行して民間貯蓄を確保し、維持するという意味で政府は特異な存在である。歳出と歳入の間にギャップがあれば、アメリカ財務省は市場の求める金利で赤字分を残らず借り入れる。そうすることで、民間投資に回せたはずの新たな貯蓄を先取りしてしまう(クラウディングアウト、という現象)”
定点観測を続けることと、観測内容を深化・多様化すること、そして何か動きがあれば発信することを今後行っていきたいと思う。