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現代の機会探索

外国人労働者の雇用と経営改革:医療・介護等サービス事業会社の事例

公開日:2026/9/6

最終更新日:2026/10/3

統計から見える協力の現状

2025年10月末の状況を厚生労働省がハローワーク経由(外国人労働者の就職/退職の時に企業はハローワークに届出を行うことが必須なので信頼性が高い)で集計した厚生労働省公表資料によれば、250万人を超える外国人労働者が幅広い業界で仕事に携わり、日本社会を支えている。

実際、日常生活では、都市部でも地方でも、高層ビル街にあるオフィスの中でも、コンビニや建設現場でも、郊外の工場でも、多くの外国人労働者が働いている様子を目にする。

元々高度な技能を持ち高い給与のポストを得て日本に来ている外国人労働者もいれば、技能を学びに訪日し、働きながら高度技能を習得して活躍する人々のインタビューもいくつか存在する。活躍してもらえている様子が伝わってくる。(ビルメンテ協会の取材、建設業関連社団法人の取材、など)

米国政府機関の調査や日本のメディアから見える難しさ

そうした企業が日本人の雇用と同様に関係性を築き、スムーズに運営できているわけではない。外国人居住問題と別に、雇用の場でも特有の難しさがあるのだ。

既にメディアで時折報道されているが、米国の国務省が言及するほどの人権問題の温床になっている。下記は2025年の国務省報告の一部である。

”バングラデシュ、ブータン、ビルマ、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、モンゴル、パキスタン、フィリピン、タイ、ウズベキスタン、ベトナムからの技能実習生は、過去5年間にわたり、漁業、食品加工業、貝類養殖業、造船業、建設業、繊維生産業や、電子部品、自動車、その他の大型機械の製造業で職を得るために、労働者が支払う過大な負担金、保証金、または不明瞭な「手数料」という数千ドルの費用を母国の送り出し機関に支払ってきたと報告した。”

⇒つまり、少なくとも十分に納得されていない手数料が日本とパイプを持つ各外国人労働者の母国のオフィスで徴収されている。日本はこの実態を探り、負担を減らすか、本当に必要なお金なら日本の政府として米国国務省に説明できるようなレベルで透明性を得るのがよさそうだ。


”技能実習制度の一部の雇用主は、明記された技能実習制度の本来の目的に反して、実習生を技能の教授や育成が実施されない仕事に従事させている。事前に合意した職務と一致しない仕事に就かされている技能実習生もいる。
これら40万人の労働者の中には、移動と通信の自由を制限され、パスポートとその他個人的な法的書類を没収され、強制送還や家族への危害といった脅しを受け、身体的暴力、劣悪な生活環境、賃金差押え、労働搾取目的の人身取引を示唆する状態に置かれた者もいた。技能実習生に「処罰合意」への署名を義務付け、妊娠したことなどで労働契約を履行できない場合、何千ドルもの違約金を科す送り出し機関もあった。”

⇒「法的書類の没収、強制送還や家族への危害といった脅し(以下略)」は日本法でも違法である。米国国務省も知っているはずなので、暗に外国人労働者問題に関して日本の行政・司法に実効性の疑問が投げかけられているようなものである。

念のため言及するならば、この問題はここ1、2年で問題視されたものではなく、調べた限り少なくとも2019年から連続で報道されていた(2019年の人権報告書、2023年の人権報告書、など)。なぜ是正されていないのだろうか?

この問題を報道しているのは米国の国務省だけではない。日本のメディアからもリアルな取材が複数報道されており信ぴょう性は高い。

外国人雇用協会でそのようなメディアの報道をまとめたページがある他、例えば2021年10月の文春報道は特定の医療・介護等サービス事業会社で働いていた外国人労働者へのインタビューをもとに過酷だった現場の状況を伝えている(念のため、この報道にある企業はベインキャピタルの経営支援を2020年~2024年にわたって受け、経営体制も刷新されて改革が為された。2021年の報道以降、2026年10月に至るまで人権問題の報道は出ていない)。

経営改革を担う企業への示唆

つまり、PEファンドなどが特に外国人労働者を多く雇用してオペレーションを回している企業の経営支援に参入しようとすれば、ここに見られるような問題に直面する確率がそれなりにあるのだ。ベインキャピタルによる経営改革後に問題視する報道が流れなくなった先例をふまえれば問題は解決できるものであると思われる。

対処にあたって、まず参入前であれば法務DDであらかじめ明らかにして、参入するにしても問題の解消にかかる費用は買収価格から控除しておきたい。(法律に従って支払うべき賃金との差額、その他諸々)

参入して問題に向き合う際、オペレーションの現場での意思決定、経営陣のガバナンス失敗に対処しなければならない。おそらく人手不足の深刻さなど様々な要因で外国人労働者に働いてもらってこそ成り立つオペレーションなのだろうから、経営体制を刷新のうえ、厚生労働省が推奨する共生の在り方のようなオペレーションの工夫を一つ一つ積み上げることになる。この計画を織り込む必要がある。

この問題解決の先行者ベインキャピタルの例で言えば、医療・介護等サービス事業会社の経営改革の際に、現場の問題をまず現地調査で把握し、その後コーポレート機能を強化して現場を把握できるようにしている様子が説明されている(「ベインキャピタル 企業価値向上力の秘密」)。

  • ”私たちは○○社の「現場」を深く理解するため、全国に6ある支社を回り、支店や介護施設の方々など63人に個別インタビューを実施しました”
  • ”当時、職員の皆さんは個人のメールアドレスも持っていませんでした。本部との連絡はファクスが中心で、現場で起きていることが本部に届きにくい環境になっていたといえます。そこで私たちは、情報共有などを目的に、全職員の皆さんが使う「○○アプリ」を開発しました。従業員から本部への連絡や、社長メッセージの配信、介護マニュアルの共有などをスマホのアプリ上で出来るようにしたほか、従業員の満足度調査もアプリを使って定期的に実施”
  • ”参画した当時、○○社には一般的な人事制度のような仕組みはほぼないといっていい状態でした。…(中略)…そこで私たちは給与テーブル策定などの人事制度の設計を進めることにしたのです”

このような対策を成し遂げて、経済的に優れるだけでなくコンプライアンスの面でも優れる企業現場を作り上げたなら、その功績は単に一つの企業の経済的なものにとどまらず、(米国国務省の問題視するような)日本社会の人権問題を大きく改善することにもつながる。大きなやりがいのある経営改革であると思う。

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