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現代の機会探索

中小企業政策とPEファンド

公開日:2026/8/8

日本の中小企業政策の全体像および中小企業の現状を知るのには、中小企業白書を読むのが効率が良いと思う。リンク先から見つけられる2026年版白書からは、中小企業をめぐる生産性の低迷とそれに対して政府の考えるメッセージを読み取れる。大まかに下記だと思う。

  • 中小企業の状況は、倒産は過去統計と比べて増えていないものの、実態として苦境である
    1. 労働生産性(従業員一人当たり付加価値額で算定)が今も大企業より低く、差は開いてきている
      • 最新データ(2024年度)で大企業は1666万円、中企業は608万円、小企業は537万円とだいぶ大きい
      • 1990年~2020年頃までは大企業が1200万円前後で中小企業は2024年度と同等だった。大企業だけその後伸びた
    2. 付加価値(≒総利益)における従業員の給与の占める割合(労働分配率)は中小企業が大企業より大きく、労働生産性を高める投資に回せている金額は少ない
      • 労働分配率は、大企業は47%、中小企業はいずれも70%越え
      • 従業員数で中小企業より少ない大企業が、設備投資額では中小企業より上回る(2024年度で、大企業25兆円、中小企業19兆円)
    3. 最低賃金は年々増加し、中小企業は労働生産性を高めなければならない
  • 政府は、拡大できる企業には中小企業の拡大を、そうでない先には設備投資やAI活用など様々な手法をお勧めしている
    1. 売上100億円以上の企業になるよう主張
      • 政府は売上100億円以上の企業を、設備投資や海外進出などを通じた日本経済・地域経済成長の担い手と見ており、税金も投入して育成する意思を示している。ポータルサイトまで用意している

        <中小企業白書に記載された原文>

        • ”日本の経済・社会構造の中長期的な変化(人口減少や新たな価値観による需要構造・ビジネス環境の変化等)や、足元の事業環境変化(コストアップ・賃上げ等)を踏まえると、日本経済・地域経済が発展していくためには、積極的な投資による地域経済の牽引や、輸出等を通じた外需拡大に貢献するとともに、賃上げを可能とする持続可能な利益を生み出すことのできる企業を創出することが必要。 なかでも売上高100億円以上の「100億企業」は、こうした賃上げ・投資を積極的・継続的に実施できる、一つの目安となるような企業である”
        • ”中小企業成長加速化補助金は、賃上げへの貢献、輸出による外需獲得、域内の仕入による地域経済への波及効果が大きい売上高100億超を目指す中小企業の飛躍的な成長を後押しする制度である。”
      • 成功事例の中小企業に、M&Aによる拡大事例が提示されている
    2. 様々な手法で強化するよう案内
      • 新店舗開設など設備投資、AI活用など様々な経営改善手法を列挙
      • 特に税金投入はアピールされていないが、成功事例にAI活用成功事例などが提示され、前向きな検討を促すような構成

PEファンドは、この特に注力される100億円企業の創出に大きく寄与できる存在である。中小企業白書によれば、売上100億円以上の企業は現在日本に1万5000社ほど存在する。このすぐ下にある、売上10億円~100億円未満の企業が9万社ほどあり、そこがターゲットなのだという。

これはPEファンドが提携を求める対象企業層であり、そのような層に投資して伴走し、5年くらいの時を経て売上数百億円の強い企業にして株式を売却する(上場したり他社や経営層に売却したり)という例はよく見られる。最近話題になったちょうどこのサイズの事例には例えばロングリーチ(日本の有力PEファンド)のC-United投資案件があるだろう。この案件は要点をまとめると下記になる。

細かい支援内容については様々なインタビューがメディア各社より整理されているが、C-UnitedのIRから事実を追ってみても、新メニューのさかんな発表や新店舗オープンなど、活発な様子は見て取れる。

政府の支援の在り方に、PEファンドの力を上手く活用する(LPとして公平性を保ちながら民間PEファンドに出資する方策もあるかもしれない)という視点が入っても、実効性が高いのではないかと思う。

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