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産業史の読み解き

グローバル拠点間をまたぐサプライチェーン管理

公開日:2026/9/7

「商品の需要を予測して、それに基づく生産計画と輸送計画を作り、その実施を通じて在庫量の最適化や生産施設の社員の生活の安定化を図る」という取り組みは、企業の大規模化が起きた20世紀初めからずっと続く経営課題である。

100年前の課題意識

文献がまともに残っている数少ない企業と思われるGM(ゼネラルモーターズ、米国の自動車会社)の事例をここでも持ち出すと、1924年にGMの財務委員会からアルフレッド・スローン社長宛に出された下記の(過剰生産の責任を問う)質問事項に、この計画に悩んでいた様子がうかがわれる。

  1. 生産スケジュールはどのような手順をへて作成されたのか。
  2. 2月25日の段階で「月末の流通在庫はおよそ23万6000台と予想される」としていながら、4月に向けて10万1209台の生産を計画したのは、どのような根拠によるのか。
  3. 各事業部はなぜ、生産のカットに後れをとったのか。流通在庫の余剰と消費者需要を考え合わせれば、より早い段階で対処が可能だったのではないか。
  4. 今後、生産量を効果的にコントロールし、過剰生産を避けるために、どのような対策を取るのか。
  5. 財務委員会は、月例予測が小売販売台数と事業環境全般を考慮しながら作成されているかどうか、判断しなければならない。事業環境に関する情報はどのようなかたちで財務委員会に提供する予定か。

これに対して、スローン社長は生産スケジュールの決定方法は統一されていなかったことを回答し、自動車業界全体がその慣行を持っており、ディーラーの膨大な在庫が問題になっていることを指摘した。その原因には「ディーラーに納品すれば業績は順調」とみなしてその後の販売に関与しない会社としての考え方を挙げている。

そしてこれを解決するため、事業部と本社で最終顧客への需要予測を作ることを1924年から全社施策に位置付けた。そして1924年からディーラーに依頼して、各事業部に10日ごとに販売データを提出してもらう仕組みを設け、需要予測の精度も高めたのである。1924年から集め出したデータ項目は下記だ。

  • 最終顧客への販売台数
  • 新車・中古車の流通在庫量

さらに、外部の調査機関から定期的に新車登録状況のデータを買い集めたり、需要に関わる統計情報を集めた。所得分布と自動車需要の相関関係など、データで可視化できたという。

つまり、100年前の最先端の課題意識とその解決策は、「在庫管理がうまく出来ないという課題に対して、社内意識を改めたうえで、自社の外の最終顧客の需要データを協力会社と連携して集めて予測に使い対応した」といったことだろう。

現代の課題意識

今年の経営層のインタビュー記事や、日本本社と海外支社のシステムの違いなどを考慮すれば、その課題意識はおそらく、

  • 日本と海外で、グローバル拠点をまたいだサプライチェーン最適化が出来ない

という内容になるのではないだろうか。おそらく「10日おきに最新の販売データ・在庫データを世界中から集めて計画策定に使う」だけでも、実現出来ていればかなり優位性のあるオペレーションということになるのではないか。

そしてこれは技術の進歩で実際には非常に容易に解決できる状態になっている。複数システムをまたいでデータ集約を行うことが出来る基盤は既に出ているのだ。最も楽に試せるのは無料版の利用をすすめているDatabricksだろう。(注:私は利害関係は無い)

個人用で操作をするだけならずっと無料である。ログインして画面を見ると、その使いやすさはすぐにわかる。左上に新規追加ボタンがあり、押していくとデータを追加できる画面に到達する。そこには各種クラウドやSaaSが一覧表示され、簡易にデータを取り込めて(Databricksコネクター。画像は一部だけで、国内外の大体のサービスに対応できる)、取り込んだデータは一元管理&集計&図表へ加工できるのだ。しかも生成AIの”Genie”(ChatGPTみたいなもの)と自然言語で話すだけで実現できる。

(最後のチャット画面は、常に画面の右端にいるアイコンから呼び出せる)

現代の最先端の課題はやがて、Databricskや似たサービスであるMicrosoft Fabric、Snowflakeによって解消されていくだろう。

もちろんこの解消には技術的な課題だけでなく、海外拠点との協力関係構築や必要であればサプライチェーン上に存在する協力会社と連携することが必要である(例えばAmazon S3からデータを連携するにしても、当然提供元からのAPIキーの連携など協力が要る)。

この連携を進めるうえで、大企業から中堅中小企業にいたるまで、(技術的には簡単な話で目的も長らく目指されてきたシンプルな話なので)自力で進めることがまずは望ましいように思うが、必要に応じて大企業ならコンサル、中堅中小企業ならPEファンドといった外部支援会社を活用することもあるかもしれない。

サプライチェーンの連携がますます広範囲&データ項目も豊富になり、効果的な運営をもたらせるようになれば、社会全体にとっても有益な話だと思う。

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