最近、日本のPEファンド業界でトップクラスに位置するベインキャピタルが自らの投資案件を解説した本を出した。
話題のキオクシアも含め、どのような施策を担ったか、定性的な説明や関係者インタビューが載せられた資料であり、公開されている定量情報と併せて読むと理解が立体的になるように思う。
この著作で繰り返し強調される点が、コンサルティングの能力を活かしてPEファンド投資を成功させた点である。投資業務であるから投資バックグラウンドの技能が重要であることは言及するまでもないだろうが、コンサルティングの技能が成功に必須だったことが伺われる。
「私たちのメンバーにはコンサルティング会社出身の者が多く…」など、本の中で20ヶ所以上強調されているのだ。
つまり、コンサルファームで第三者として企業に経営コンサルを行い技能を磨いてきた人々が、株式取得や経営層への着任を通して経営のキャスティングボードを握る(少なくともその一員になる)ことが企業価値創出に結びついたと考えられる。
そうなると気になるのは、日本の他のPEファンドのコンサルティング会社出身者である。これは前述の著作でも記載はない。
これについては、各社の公式サイトを見てメンバーページをざっと眺めると、大まかに下記の整理になりそうだ(任意に10人ほど抽出して経歴を読み、コンサルティング会社出身者数を確認)。
もちろん個々の案件でどれだけアサインされるかが投資先にとっては重要だが、ファンドごとのカラーは出ていそうである。
外資系大手:
- ベインキャピタルは確かに幹部層からコンサル出身が多い
- KKRとカーライルはやや少ない(金融バックグラウンドが多い)
国内独立系大手・中堅:
- アドバンテッジパートナーズ、日本企業成長投資は幹部層から多い
- ポラリスキャピタルやインテグラルはやや多い
- ユニゾン・キャピタル、アントキャピタル、MBK、NSSK(日本産業推進機構)、ティーキャピタル、はやや少ない(金融バックグラウンドが多い)
国内商社系:
- 丸の内キャピタルは比較的多い
- アイシグマは比較的少ない(金融バックグラウンドが多い)
国内銀行系:
- どこもほぼいない。もしくはメンバーを開示していない。
繰り返しになるが、「コンサルファームの出身者が多ければ本当に成果が上がりやすいのか」は個人によるかもしれず不明瞭な所もある。ただ、コンサルティングの技能を活かす施策で価値創出を成し遂げた案件があることも確かである。投資を受ける、あるいは行う立場に立つ時、どのようなストーリーで企業価値を高めたいか考え、それに合うメンバーを揃えて改革に臨むのが良いのかもしれない。
また、仮に今後コンサルティング技能の有用性が確認されたなら、やがて地方銀行のPEファンドなど今はほとんどコンサルティング出身者の見られない組織でも採用が進むのではないかと思う。